サンゴが果たす生態系の役割

サンゴが果たす生態系の役割

温かい海に生息しているサンゴは、小さな生物が集まってできた構造をしています。プランクトンを食べながら成長するとともに、内部に藻を生息させるため、光合成も行ないます。そしてその藻の栄養分の恩恵を受けることで、さながらひとつの小さな生態系のような仕組みが出来上がっています。

 

群れの間にはいくつもの隙間があるため、魚を始めとした様々な生物の住処となります。ただ暮らすだけではなく産卵の場所にもなるため、生物が繁殖するために欠かせない場所でもあります。また生物もサンゴと同じように藻の恩恵を受けることができるので、安全と餌を提供してくれる至れり尽くせりの場所です。

 

さらに光合成は水中の酸素を吸収して酸素を出す作用で、周辺の環境を整える働きもあります。これらの重要な役割がいくつもあるので、海の熱帯林と呼ばれたりもします。

 

またサンゴの役割は海中の生態系だけではなく、人の営みにも関係してきます。本体がまずある程度の強度を持っている上に、石灰化するとさらに強くなります。これは地形を変えてしまう程の影響力を持ちます。浅い部分では海面から飛び出てることで島のような形状をして、その上に植物が生えたり人が暮らしているところもあります。

 

浅瀬に群生している場合は、防波堤にもなります。特に人が対処をしなくても、強い波から守ってくれるわけです。

 

ただサンゴは非常にデリケートなため、環境が変化するとそれらの役割が果たせなくなってしまう怖れがあります。まず藻が定着するには条件があり、水温が高くなるだけで藻は死滅してしまいます。そうなるとその恩恵を受けることができなくな、それが長い間続くとやがて骨格だけが残るようになります。

 

これを白化現象と言い、ただの構造でしかありません。もちろん藻がないため豊富な栄養素を生み出すことができず、生物にとっても大きな痛手です。

 

さらに捕食をしてくる天敵のオニヒトデや、海洋開発に化学物質など役割を損なわせる要因は数多いです。いずれにしても小さな生態系がなくなってしまうわけなので、直接的には生物の数が減り、間接的なものを含めると色々な場所で影響が出る怖れがあります。

 

一度損なわれてしまったサンゴを、様々な役割を果たせるようになるまでには長い年月がかかります。さらに環境が変わってしまったままでは、そもそも取り戻せるかどうかが不明瞭です。特殊な生物で未だ分かっていない部分も多いため、今ある分を大切にしなければなりません。