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サンゴQ&A

サンゴは満月の夜に一斉に産卵するのですか?

サンゴの種類によって、また生息地域によって異なります。

サンゴの産卵日は満月大潮がいつになるか(月の上旬、中旬、下旬のどこ辺りか)により大きく左右されます。
沖縄島(沖縄本島)では5〜8月の期間に様々な種が異なる夜に産卵します。満月の晩の場合もありますが数日ずれることも多いです。ミドリイシ類は一般に他種よりも早く5月か6月の満月の前後数日間の夜に産卵することが多いです。しかしながら条件によっては満月の1週間後に産卵するということもあります。

また、満月と数日ずれる種類も知られており、例えばパリカメノコキクメイシは満月の数日後に産卵し、アザミサンゴは満月の5〜9日後に産卵します。ハマサンゴは満月の5〜7日後に産卵するのですが、これは時間まで正確で21:40頃に産卵します。

八重山諸島・慶良間諸島では沖縄本島よりも1ヶ月ほど早めに産卵期が始まります。一方小笠原では8月の小潮に産卵が行われ、多くの種がその日に産卵することが報告されています。また、オーストラリア・グレートバリアリーフでは11月、12月の満月の数日後に多くの種が産卵することが知られています。

参照:サンゴの産卵の話

サンゴは1年でどれくらい成長しますか?

サンゴの種類や生息環境によって異なります。

例えばミドリイシ属のサンゴは年間10cm以上の速さで成長することが知られていますが、ハマサンゴは成長が遅く年間1cm程度です。また光の条件や水流など、サンゴを取り巻く周囲の環境によっても成長速度は異なります。

サンゴは何を食べるのですか?

ポリプの中に褐虫藻と呼ばれる小さな植物を取り込んで、褐虫藻が光合成で作り出す栄養をもらって体を維持しています。また、イソギンチャクなどと同じように触手で動物プランクトンを捕まえて栄養源にしています。

サンゴはどのようにして増えるのですか?

サンゴは有性生殖(放卵放精)と無性生殖(分裂・出芽)という2つの方法で増えていきます。

同じ種類のサンゴは、ほぼ同時に卵と精子の塊を放出します。
受精すると、サンゴの赤ちゃん(プラヌラ幼生)が生まれます。

また、体内で受精し、成熟した幼生を放出するサンゴもいます。
幼生は、水中を漂ったあと、適当な場所をみつけて岩などに定着し、体から石灰質の分泌を始めます。

定着したポリプは、分裂によって自分のクローンを作ります。ポリプの数が増え、石灰質の骨格も大きくなっていきます。分裂を繰り返してできたポリプの集合体を群体と呼びます。1つの群体が無数のポリプから出ているいるものもいますが、それらは同じポリプのクローンです。

同じ種のサンゴでも異なる形になることはありますか

サンゴはさまざまな要因によって形を変えています。

例えば、ハナヤサイサンゴは、流れの静かな場所では繊細な枝ぶりに、流れの強い場所では太い枝のごつごつとした形になります。両極端な形を見ると、まるで別種のように見えるほどです。流れの強さに応じて、形も連続的に変わります。(Veron1995)。

サオトメシコロサンゴやスリバチサンゴは、水深により形が変わることが知られています。これらの種についての移植実験から、スリバチサンゴの形は環境によって、サオトメシコロサンゴの形は遺伝によって、それぞれ変わることが分かっています。また、周りにどのような生物がいるか(例えばソフトコーラルの有無)によっても、形が変わることが知られています(Willis 1985)。

ハマサンゴ類のクボミハマサンゴなどにはプレート状と枝状があり、それらが混ざった形になることもあります(Muko et al.2000)。

さまざまな形のサンゴがあり、サンゴ礁は面白いですね。

サンゴの中に住んでいる褐虫藻とは、どんな生き物ですか?

褐虫藻は、渦鞭毛藻の仲間の小さな植物です。光合成をして栄養を作り出し、宿主であるサンゴに栄養を与えています。

褐虫藻はサンゴの中では直径約10ミクロンの球形をしていますが、サンゴのポリプから出ると鞭毛を使って泳ぎます。サンゴの他にも褐虫藻と共生する生き物がいます。シャコガイや有孔虫、イソギンチャク、サカサクラゲなどの動物とも共生することが知られています。

褐虫藻は何種類いるのでしょうか?

わかっているだけでも100種類以上いるとされています。

1990年代以降、遺伝子解析手法が急速に発達し、褐虫藻の分類が進みました。

現在では、おおまかに7つの分類群に分けられ、それぞれの分類群には何種類もの褐虫藻が属していることがわかっています。

また、サンゴとの関係についても、さまざまな研究が進んでいます。例えば、特定の分類群に属する褐虫藻としか共生しないサンゴがあること、環境により異なる分類群の褐虫藻と共生するサンゴがあること、などが分かっています。

出典: LaJeuness et.al (2002) Diversity and community structure of symbiotic dinoflagellates from Caribbean coral reefs.
   Marine Biology 141:387-400

褐虫藻の種類が白化現象と関係しているというのは本当ですか?

本当です。現在は、大まかにしか研究は進んでいませんが、褐虫藻の分類群ごとに、異なる性質があることがわかっています。その一つの性質として、白化と関係があることがわかっています。

 褐虫藻はA-Hの8つの分類群に分けられています。同じ種類のサンゴでも、どの分類群の褐虫藻を持っているかにより、高温ストレス耐性が違ってきます。例えば、ハナヤサイサンゴなどで、分類群Cの褐虫藻(以下C)を持つ群体は高温ストレスに耐えられず白化してしまいましたが、分類群D褐虫藻(以下D)を持つ群体は高温ストレスを乗り切って白化しなかった、ということがわかりました。

 また、幼サンゴに実験的に異なる分類群の褐虫藻を与えたところ、Dを持つ幼サンゴはCを持つ幼サンゴよりも成長が遅いことがわかりました。上記の説とあわせると、高温などのストレスがかかった場合、Cを持つサンゴは褐虫藻を排出し、温度耐性の高いDを取り込み、白化を乗り切ろうとしているというように考えられています。

出典:Baker et al (2004),Little et al.(2004)

リーフチェックが行われている大浦湾には珍しい歩くサンゴがいると聞きました。これはどんな生き物なのですか?

沖縄県名護市大浦湾では巻き貝の殻にくっついて一緒に移動するサンゴが発見されています。スイショウガイという貝がキクメイシモドキというサンゴを背負っているのです。キクメイシモドキの分布はインドから日本の近海で、巻き貝は本州中部から熱帯の海にすむスイショウガイ。セットでの観察記録は例がなく非常に珍しいです。

名桜大の西平守孝教授(生態学)によると、「ひっくり返っても短時間で起きあがるスイショウガイに付いていれば、泥に埋まる心配もない。だから、泥の上まで生息範囲を広げられた」ということです。

出典: 2005年10月25日朝日新聞 「歩くサンゴ? 実は貝の背中に乗って移動。沖縄、大浦湾」
(http://mytown.asahi.com/okinawa/news.php?k_id=48000118888881757)

同じ種類のサンゴに、違う種類のハゼが棲むことはあるのですか?

ハゼの仲間にはミドリイシ類のサンゴに棲むものがいます。最近の研究から、同じ種類のサンゴにも、違う種類のハゼが棲み分けていることが分かってきました。

 オーストラリアのハナガサミドリイシには、枝の先端が青いものと茶色のものがあります。青いものにはベニサシコバンハゼ(G. histrio)が、茶色いものにはフタイロサンゴハゼ(G.quinquestrigatus)が、それぞれ棲んでいることが分かりました。

 サンゴの遺伝子を調べたところ、色の違うサンゴの間に遺伝的な違いはありませんでした。ハゼたちはサンゴの色で棲み家を決めている、ということになるようです。

出典:Mackenzie et al.(2004) Molecular Ecology.Unexpected patterns of genetic structuring among locations but not colour morphs in Acropora nasuta (Cnidaria; Scleractinia).

チャツボボヤは固着性生物だと思っていましたが移動すると聞きびっくりしました。どの器官を使って移動しているのでしょうか?

A: 「被嚢(ひのう)」という組織を使って移動すると考えられています。

チャツボボヤ

 一般的に動物の最も外側の組織は表皮です。でもホヤは「表皮」の外側に更に「被嚢(ひのう)」という組織が発達していて、群体の下部もこれが覆っています。したがって、移動にも被嚢を使っていることは間違いないと考えられています。

 ホヤに近い仲間(ヒカリボヤ・サルパなど)も被嚢を持っているので、これらを含めて被嚢動物と呼ぶ場合もあります。

 お気に入りの場所でチャツボボヤを見つけ、彼らが移動しているかどうか観察してみたら面白いと思います。


                     (回答:海の自然史研究所の伊勢戸徹さんご協力)

サンゴ礁域に生息しているナガウニに見かけの違うものがいるように思うのですが、同じ種類なのでしょうか?

いいえ。今まで一種として分類されてきたナガウニですが、実は4種類はいることがわかってきました。

4つにタイプA、B、C、Dと分けられるのですが、タイプAは棘の先端が白く、タイプBは棘が全体的に褐色をしています。AとBでは分布域が異なっており、Aはサンゴ礁海岸のイノーの中や陸よりのタイドプールのサンゴの基部や岩陰に生息しています。一方でタイプBは波当たりが強いサンゴ礁縁部の穴の中にいることが多いです。

タイプCは棘の下端に明瞭な白い輪があります。タイプBにも白い輪はあるのですがCほどはっきりしていません。タイプDは全体的に黒い棘を持つのが特徴的です。

タイプBとタイプCは似たような環境にすんでいることが多いですが、タイプDは波当たりの強い場所を好みます。

日本語名としては仮称として、タイプAをツマジロナガウニ、タイプBをナガウニ、タイプCをリュウキュウナガウニ、タイプDをヒメクロナガウニと呼ぶことが提案されています。そのうち海辺の生き物図鑑のウニの名前が一新されるかもしれません。

写真1:ナガウニ・タイプA ツマジロナガウニ写真2:ナガウニ・タイプB ナガウニ
写真1:ナガウニ・タイプA ツマジロナガウニ          写真2:ナガウニ・タイプB ホンナガウニ(仮称)

参照:
1)上原剛(1992) ナガウニの種分化.朝日百科「動物たちの地球」66:2-167
2)Tsuchiya,M and M.Nishihira(1984) Ecological distribution of two types of the sea urchin,Echinometra mathaei(Blainville), on Okinawan reef flat.Galaxea 3:131-143
3)Tsuchiya,M and M.Nishihira (1985) Galaxea 4:37-38
4)Tsuchiya,M and M.Nishihira (1986) Galaxea 5:283-294

タコの寿命はどれくらいなのでしょうか?

残念ながらタコにはまだ寿命を推定できる方法が開発されていません。マダコで1年、ミズダコで3年と推定されています。

タコは賢いと聞きましたが本当なのでしょうか?

タコには脳があり、他の個体の行動を見て学習することが可能です。例えばビンのふたを開けるなどの作業も学習することができます。ちなみに多くの人がタコの頭だと思っている部分は脳ではなく、タコの脳は目の周囲のみに存在します。
                             (回答協力 琉球大学大学院 金子奈都美)

イソギンチャクが移動するのは本当ですか?

 はい。クラゲ類以外の刺胞動物門に属する生き物たちには移動しない固着生物が多いですが、イソギンチャクは足盤と呼ばれる移動用の器官を持っています。イソギンチャクを水槽に入れておくと移動することが確認できます。

 またハワイ諸島以西のインド洋から西太平洋に広く分布するオヨギイソギンチャクは、その名の通り泳ぎます。基質について触手を開いている様子を見ると他の固着性生物と同じように見えますが、この仲間は足盤は持っているものの足盤筋がないので、簡単にはがれてしまいます。

 また泳ぐのに似た習性にジャンプがあります。キタフウセンイソギンチャクは捕食者であるヒトデの接近を察知するとジャンプして逃げます。

出展:イソギンチャクガイドブック 阪急コミュニケーションズ

ナマコはどんな生き物なのですか?

ウニやヒトデと同じ棘皮動物の仲間です。世界に約1,500種類、日本には約200種いると言われています。海ならば水温や深度問わずどこにでもいるようです。熱帯の海のみならず温帯や寒帯、南極の海等、広い地域に棲んでおり、また浅いところにも深いところにも棲んでいます。

出展: ナマコガイドブック 阪急コミュニケーションズ

ナマコの子供は大人をそのまま小さくした形をしているのでしょうか?

ナマコの子供は親と全く異なる丸い卵型(直径0.15mm程度)をしています。受精卵も丸く、約1日でオークラリア幼生に形を変え、繊毛を使って泳ぎだします。その後いくつか別の幼生を経て、みなさんが図鑑でご覧になる形になります。

出展:「ナマコガイドブック」阪急コミュニケーションズ

ナマコの寿命はどれ位ですか?

マナマコは約1年で大人になり、寿命は4年程度らしいです。文献によると多くのナマコの寿命は5−10年とありますが、Lectopentacta eclongataというイギリス近海にいるナマコは10−20年生きるらしいです。

出展: ナマコガイドブック 阪急コミュニケーションズ

先日ジャノメナマコをうっかり触ってしまったところ白い糸が身体から出てきましたが、あれは何ですか?

 ある種類のナマコは捕食者に対する防衛用としてキュビエ器官と呼ばれる白い糸状の器官を持っています。 

ジャノメナマコジャノメナマコやフタスジナマコやクロナマコは肛門から捕食者から攻撃を受けると肛門からこれを伸び出します。中空の細い糸状のものであり、ナマコは200-600本持っているのですが、伸びる際に糸の表面の細胞が壊れ、その下にある粘着性の物質を含んだ細胞が表面に出てきて、この細胞が捕食者に接すると粘着物質が分泌され 捕食者に粘り絡みつきます。この粘着物質に毒性はありません。一度に放出される糸は10-20本、糸の補充には15-20日かかると言われています。

 キュビエ器官を持たないナマコでも自分の腸を出して身を守るケースも知られています。捕食者につつかれると、その部分の皮に自分で穴をあけて、そこから腸を吐き出します。捕食者がそれを食べている間にナマコは逃げます。

注:キュビエとは有名なフランスの比較解剖学者の名前です。
出展:「ナマコガイドブック」阪急コミュニケーションズ

サンゴは死んでも海の生態系の保全の役に立つのですか?

サンゴは死んでも役に立ちます。死んだサンゴ群体の表面を利用する生物には、ホヤ類や海藻類などの固着性生物、ヤドカリや巻貝類のように移動性の生物がいます。一方で骨格中に埋もれながら生活している種類、例えば穿孔性の二枚貝類(イシマテ、シャコガイなど)やイバラカンザシなどのゴカイ類はサンゴの生死に関わらず、そこを生活の場として用いています。特に穿孔性二枚貝類は、ウニ類やホシムシ類と同様、生物侵食というサンゴ礁生態系において重要な役割を果たしています。サンゴ礁生態系には、死んだサンゴを含む多種多様な生活様式をもった生物が複雑な関わりをもちながら共存しており、これをすみこみ連鎖といいます。

参考図書:「サンゴ礁-生物が作った生物の楽園-」、著者:西平守孝他、平凡社 1995