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宜野湾のサンゴ礁
2008.6.25(水) 掲載
沖縄の本土復帰を境に進められてきた海と陸での大規模な開発、そして近年では1998年のサンゴの白化現象や2000年前後から続くオニヒトデの大発生、加えて地球規模では気候変動や海水の酸性化など、沖縄県下のサンゴ礁は人為的な影響を始め大きな脅威にさらされてきている。国際サンゴ礁年となった2008年、宜野湾の海で自然の逞しさを垣間見た。
宜野湾市の人口は約9万人、那覇市の北約12kmに位置し、市の西部は東シナ海に面している。宜野湾の海岸線は護岸されたり埋め立てられたりして、全線にわたり天然の海岸線が消滅している。かつてと違い、市民と海の接点が失われているかのような、この典型的な市街地の海は、そこに息づく生物も含め、人々の生活や意識からは遠く離れてしまっている。そしてそこに棲む生き物は、大雨のたびに牧港川などから流れ下りてくる生活・産業排水などに、断続的にではあるが、毎年のように晒されている。
宜野湾の海には二つの大きな離礁(島から離れているサンゴ礁の浅瀬)が海面下ぎりぎりまで立ち上がっている。ジャナビシと大山ナガビシだ。地図や海図にもはっきりとは示されていない、幻ともいえるサンゴ礁だ。ジャナビシは周囲3kmの少々複雑な台形の瀬、大山ナガビシは周囲2km弱の長細い瀬で、この他、ナガビシの周辺には小さな瀬が幾つも散らばっている。漁業者には我が家の庭みたいに知り尽くされたサンゴ礁かもしれないが、地元の人でもこれらの瀬を知る者は数少ない。
国土交通省国土計画局のホームページにある昭和52年(1977年)に撮影されたとある航空写真(写真中央がジャナビシで大山ナガビシなどは含まれていない)で、かつての宜野湾のサンゴ礁の姿を眺めることができる。
国土画像情報(カラー空中写真) 国土交通省
沖縄島周辺のサンゴ礁は前述の白化現象やオニヒトデの大発生から回復の途上にあるといわれているが、サンゴ群集が回復している海は南部や北部、本部半島の一部の海岸に限られているともされている。そんな中、南部や北部に引けを取らない、もしくはそれ以上の回復が進んでいることを、宜野湾のサンゴ礁で確認した。
ジャナビシ(2007年撮影)


この海で見られる最大で直径90cm程度のミドリイシのテーブル状群体は、その成長に少なくとも5〜7年以上はかかっている。これらは完全に成熟し、毎年初夏には多くの卵を産み、周りの海のサンゴ群集の回復を大いに助けている。


海底を覆い尽くさんばかりのミドリイシは枝状やテーブル状など種類も豊富で、被度(生サンゴ群集の海底を覆う面積の割合)は高いところで80%にも達する。


被度が高い場所は1m以浅のごく浅い水深なので、スノーケリングでもこの様子を観察することができる。


比屋良川や牧港川の影響からか、市街地正面のサンゴ礁だからか、透明度は慶良間諸島などの離島と較べ格段に落ち、海面に浮遊するゴミが目立つ。
ジャナビシ(2008年撮影)



昨年と変わらず、海底を覆い尽くさんばかりのミドリイシが被度約80%を保っている。


他方、このような理想的な風景の周りではオニヒトデも数多く観察され、死んだテーブル状のミドリイシの骨格が広がる寂しい景色とも隣り合っていることなども記録しておく必要がある。
大山ナガビシ(2008年撮影)



ソフトコーラルが多く、ジャナビシのように高い被度のサンゴ群集はみられないが、テーブル状、木の枝状、塊り状、葉っぱ状など様々な形に成長したサンゴが生息し、多様性は高い。


ウミバラやスリバチサンゴの大きな群体(左)、リュウキュウキッカサンゴとイボサンゴの混成群集(右)が散在している。


リュウキュウキッカサンゴとイボサンゴが混成したこのようなサンゴ群集は、渡嘉敷島でもみられる特徴的で目を引く景観だ。
この海の古老と神様(2007年撮影)


直径3m以上にも迫るダイオウサンゴの大きな群体。もう何十年とここに鎮座しているのだろう(左)。海の神様ともされるウミヘビ類。この海域で頻繁にみられる無毒のイイジマウミヘビ(右)。

琉球新報に掲載された画像(ジャナビシ)(撮影-山川)
新聞やテレビでは、毎月のようにサンゴ礁の生態系の危機が取り上げられている。警鐘を鳴らすことは大切だ。ただ、それだけではなく、むしろそれ以上に、例えば毎年の桜やデイゴの開花のように、頻発しつつある黄砂の到来のように、常に正しく今をみつめ続けることが重要であり、今、最も求められていることである。そして、海面下という普段目にするということができない別世界の環境が、どれだけ身近に多くの人の生活の一部となり得るのかが問われている。
文と写真:長田智史*、写真:山川英冶* *: 財団法人沖縄県環境科学センター
宜野湾のサンゴ礁
沖縄の本土復帰を境に進められてきた海と陸での大規模な開発、そして近年では1998年のサンゴの白化現象や2000年前後から続くオニヒトデの大発生、加えて地球規模では気候変動や海水の酸性化など、沖縄県下のサンゴ礁は人為的な影響を始め大きな脅威にさらされてきている。国際サンゴ礁年となった2008年、宜野湾の海で自然の逞しさを垣間見た。
宜野湾市の人口は約9万人、那覇市の北約12kmに位置し、市の西部は東シナ海に面している。宜野湾の海岸線は護岸されたり埋め立てられたりして、全線にわたり天然の海岸線が消滅している。かつてと違い、市民と海の接点が失われているかのような、この典型的な市街地の海は、そこに息づく生物も含め、人々の生活や意識からは遠く離れてしまっている。そしてそこに棲む生き物は、大雨のたびに牧港川などから流れ下りてくる生活・産業排水などに、断続的にではあるが、毎年のように晒されている。
宜野湾の海には二つの大きな離礁(島から離れているサンゴ礁の浅瀬)が海面下ぎりぎりまで立ち上がっている。ジャナビシと大山ナガビシだ。地図や海図にもはっきりとは示されていない、幻ともいえるサンゴ礁だ。ジャナビシは周囲3kmの少々複雑な台形の瀬、大山ナガビシは周囲2km弱の長細い瀬で、この他、ナガビシの周辺には小さな瀬が幾つも散らばっている。漁業者には我が家の庭みたいに知り尽くされたサンゴ礁かもしれないが、地元の人でもこれらの瀬を知る者は数少ない。
国土交通省国土計画局のホームページにある昭和52年(1977年)に撮影されたとある航空写真(写真中央がジャナビシで大山ナガビシなどは含まれていない)で、かつての宜野湾のサンゴ礁の姿を眺めることができる。
国土画像情報(カラー空中写真) 国土交通省
沖縄島周辺のサンゴ礁は前述の白化現象やオニヒトデの大発生から回復の途上にあるといわれているが、サンゴ群集が回復している海は南部や北部、本部半島の一部の海岸に限られているともされている。そんな中、南部や北部に引けを取らない、もしくはそれ以上の回復が進んでいることを、宜野湾のサンゴ礁で確認した。
ジャナビシ(2007年撮影)
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この海で見られる最大で直径90cm程度のミドリイシのテーブル状群体は、その成長に少なくとも5〜7年以上はかかっている。これらは完全に成熟し、毎年初夏には多くの卵を産み、周りの海のサンゴ群集の回復を大いに助けている。
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海底を覆い尽くさんばかりのミドリイシは枝状やテーブル状など種類も豊富で、被度(生サンゴ群集の海底を覆う面積の割合)は高いところで80%にも達する。
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被度が高い場所は1m以浅のごく浅い水深なので、スノーケリングでもこの様子を観察することができる。
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比屋良川や牧港川の影響からか、市街地正面のサンゴ礁だからか、透明度は慶良間諸島などの離島と較べ格段に落ち、海面に浮遊するゴミが目立つ。
ジャナビシ(2008年撮影)
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昨年と変わらず、海底を覆い尽くさんばかりのミドリイシが被度約80%を保っている。
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他方、このような理想的な風景の周りではオニヒトデも数多く観察され、死んだテーブル状のミドリイシの骨格が広がる寂しい景色とも隣り合っていることなども記録しておく必要がある。
大山ナガビシ(2008年撮影)
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ソフトコーラルが多く、ジャナビシのように高い被度のサンゴ群集はみられないが、テーブル状、木の枝状、塊り状、葉っぱ状など様々な形に成長したサンゴが生息し、多様性は高い。
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ウミバラやスリバチサンゴの大きな群体(左)、リュウキュウキッカサンゴとイボサンゴの混成群集(右)が散在している。
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リュウキュウキッカサンゴとイボサンゴが混成したこのようなサンゴ群集は、渡嘉敷島でもみられる特徴的で目を引く景観だ。
この海の古老と神様(2007年撮影)
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直径3m以上にも迫るダイオウサンゴの大きな群体。もう何十年とここに鎮座しているのだろう(左)。海の神様ともされるウミヘビ類。この海域で頻繁にみられる無毒のイイジマウミヘビ(右)。

琉球新報に掲載された画像(ジャナビシ)(撮影-山川)
新聞やテレビでは、毎月のようにサンゴ礁の生態系の危機が取り上げられている。警鐘を鳴らすことは大切だ。ただ、それだけではなく、むしろそれ以上に、例えば毎年の桜やデイゴの開花のように、頻発しつつある黄砂の到来のように、常に正しく今をみつめ続けることが重要であり、今、最も求められていることである。そして、海面下という普段目にするということができない別世界の環境が、どれだけ身近に多くの人の生活の一部となり得るのかが問われている。
文と写真:長田智史*、写真:山川英冶* *: 財団法人沖縄県環境科学センター

