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サンゴの病気−カリブ海の事例を中心に−

造礁サンゴの脅威の一つとして近年注目されているのがサンゴの病気です。Science5857号の”NEWS FOCUS”の中でも、カリブ海におけるサンゴの病気(coral disease)のことが紹介されています。

カリブ海で見られるサンゴの病気の一つ、Yellow-band diseaseは、プエルトルコでは極めて大きな被害をもたらしました。この病気にかかったサンゴには黄色の帯が円状にくっきり現れることから、このような名前がつけられたと思われます。この病気は特に、この海域で優先するMontastraea属のサンゴの仲間の年を重ねた大きなコロニーに深刻なダメージを与えたそうです。この病気の原因となる病原体はまだ特定されておらず、そのターゲットがサンゴ自体なのか、サンゴに共生する褐虫藻なのかも分かっていないそうです。この病気の影響は近年増々深刻となり、平均最低水温の上昇と関連があるのではないか、と考えられています。

カリブ海で見られるサンゴの病気、White-band diseaseWhite plagueは、細菌の感染によって起こるとされる病気の一つで、サンゴの白い骨格がむきだしになって現れるのが特徴です。1980年初頭、white-band diseaseはカリブ海全体で95%のミドリイシ類を一掃するほどの深刻な被害を与えました。White plagueもまた深刻な影響を及ぼしており、水温の季節変化と同調して進行状況が変わります。この病気は現在でもカリブ海のサンゴにとって大きな脅威となっていますが、yellow-band diseaseの方がより脅威になりつつあるという意見もあるようです。

アスペルギルス症は、土壌の菌類の仲間であるAspergillus sydowiiによって引き起こされる病気で、1990年代の中頃にカリブ海のヤギ類に深刻な被害をもたらしました。この病原菌は温暖化が進む海では栄えることがこれまでの研究から示唆されていますが、ヤギ類もまたそれに対して抵抗性を上げるのではないかと考えられています。

White syndromeは類似の兆候を持つ病気のグループのことで、最初10年ほど前に、オーストラリアのグレートバリアリーフで発見され、その後他の地域でも確認されました。White syndromeが発生すると、数週間、または数ヶ月でコロニー全体が死滅してしまいます。この病気の原因はまだ不明です。グレートバリアリーフ1500kmに渡る6年間の調査で調べた結果、この病気の大発生は表面水温の上昇とサンゴの密度に関連があることが示唆されたそうです。またハワイ諸島においては、コモンサンゴに見られるWhite syndromeが現在注目されています。

このようにサンゴの病気には様々なタイプが見られますが、いずれの病気も水温の上昇の影響を受けることが示唆されており、地球温暖化によってさらに深刻さが増すことが懸念されます。


写真:ハマサンゴで見られたpink-line syndrome(撮影:安田直子)

参考文献

Pennisi E (2007) REEFS IN TROUBLE: Spawning for a Better Life. Science 318:1712-1717

執筆者:沖縄リーフチェック研究会編集グループ