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シンポ「世界のサンゴ礁の危機と保全−私たちに何ができるのか− 」に参加しました
2007.3.24(土) 掲載
「世界のサンゴ礁の危機と保全−私たちに何ができるのか− 」と題し、3月16日(金)に東京の三菱商事で国際シンポジウムが行われました。
三菱商事では地球環境事業部を設立し1990年より環境問題に取り組んでいます。2005年より静岡大学と三菱商事でサンゴの白化をミクロ生態系の動態と物質循環という視点から解明するためサンゴ礁保全プロジェクトを始動し、NPO法人アースウォッチ・ジャパンから研究活動へのボランティアが派遣されています。今回のシンポジウムは2006度の活動の報告会でした。
講演者リスト;
○鈴木款教授(静岡大学創造技術大学院)
化学的視点からサンゴ礁をながめる、特に白化について。
○ドナルド・ポッツ博士(カリフォルニア大学サンタクルーズ校)
生物学者/地理学者。オーストラリア、太平洋、ハワイ、 ミッドウェイなどさまざまな海域を30年以上にわたり観察してきた。
サンゴ礁の過去、現在、未来への変遷に興味を持つ
○デビッド・スミス博士(英国エセックス大学サンゴ礁研究ユニット)
環境がサンゴ礁に与える影響について研究している。インドネシア、ホンジュラス、マレーシア、セイシェルの海を見てきている。
○土屋誠教授(琉球大学理学部)
生態学を専攻している。生物とそれに関わる環境。どうして自然を守らなければいけないのか?に関心を持つ。
○難波菊次郎氏(アースウォッチジャパン理事長)
1990年にアースウォッチジャパンの設立。のべ500人の日本人がこのプログラムを通じてフィールドに出ている。
まず「世界各国のサンゴ礁の状況、それぞれの研究概略、成果、状況」について講演者からご発表があり、その後、「私たちに出来ること」と題しパネルディスカッションが行われました。どのご講演者の方も豊富なスライドを交え世界の各地域のサンゴ礁の現状を見せてくださったものの、残念ながら時間不足でご研究内容の結果の部分まで聞けなかったのが残念です。今後の成果が楽しみです。
講演概略;
● 土屋誠先生「沖縄のサンゴ礁 −その現状と役割−」
*サンゴ礁は、生活空間、海洋資源、生物多様性、観光資源、などの役割を果たしているが、現在そのサンゴ礁が危機に直面し ている。そのほとんどが人間活動の影響であるものが多い。例えば、過剰漁獲、土地開発、富栄養化、オニヒトデによる影響、 塩分低下、台風、赤土、赤土流入、光量低下による阻害、サンゴの病気がサンゴ礁の破壊に大きく影響している。
*オニヒトデの異常繁殖はある生物の数だけが増加したことによりバランスが崩れた影響である。それを考えると人間の数も30- 40年前と比べると倍以上になっている。その結果、現在では美しいサンゴ礁が墓場のようになっている。
*サンゴ礁が生態系の中で果たす機能のことを生態系サービス(ecosystem services)という。
漁場として大切、防災、研究教育の場、景観を提供、多様な生物を共存させる機能、環境浄化機能 etc
*サンゴ礁を漁場とした漁業は世界全体の漁獲の9-12%を占める。
*海流、波浪による影響、海岸侵食 → モルジブでは1kmの防波堤を作るのに1200万ドルかかった。
*現在、60,000種以上が記載されている。
*ケニアでは魚類の乱獲により、ウニの捕食者が減りウニが増加したことがある。このように代替種が不在の場合、機能が低下 する。キーストーン種による制御、ギルド群による機能維持。
*バランスをどのように維持していくかが大事である。
*環境浄化機能。ナマコは有機物をえさとして取り込んでいる。ふんの中を調べると有機物が減っているのでこの生物が機能して いるのがわかる。二枚貝や巻貝も水をろ過してきれいにする役割を果たしている。
*過去の機構の記録として非常に重要なのがサンゴの骨に残っている情報。サンゴの骨に歴史がきざまれてゆく。
*サンゴが白化して共生のバランスが崩れれると、脂肪酸(fatty acid)の量が低下し、サンゴの体の組成が変わる。バクテリア が増える。 サンゴ礁のみをみていてはだめでもっとミクロな世界にも目を向けなければならない。
→ 以上の流れをうけ琉球大学では21世紀COEプログラムを立ち上げて各方面からサンゴ礁について研究を進めている。
●ポッツ博士
「ミッドウェイ環礁国立自然保護区(Midway Atoll National Wildlife Refuge)」でのアースウォッチプロジェクトの報告。
環境変動に関する統合的な研究を行っている。サンゴ礁のモニタリングを行いサンゴ礁の持続可能性に関して研究。
ミッドウェイ周辺のサンゴ礁の様子はサンゴが多く分布している場所とあまりない場所があるがその違いはどうして起こるのか、それぞれの生態系の役割は何か、ミッドウェイのサンゴ礁が持続可能かどうか?というのが課題である。ハワイ諸島国家自然保護区は1859年に発見されて、1867年に米国による領有宣言がなされた。ミッドウェイはそのハワイ諸島の一番近くの島から2,000km離れている場所である。にもかかわらず、人間活動の影響を受けている。北太平洋の漁業によるゴミ;魚網や海外から流れ着いたゴミ(パソコンまでありました!)が非常に多く、残留物の影響も多い。例えばアホウドリやウミガメ、モンクアザラシ等。
1998年に最優先に保護するものとして鳥類(アジサシ、クロアシアホウドリ、コアホウドリ)と哺乳類(ハワイアンモンクアザラシ)、
両生類が制定された。Burke(2002)によるとこの島の生物多様性は低く、固有種の割合が高い(50%とも言われるほど)。
サンゴ礁の北限に位置しておりmarginal ecologyを観察するのに面白く、手付かずの食物連鎖を見ることが出来るのが面白い。人間の影響のない場所、人間の影響下にある場所、人間の間接的影響を受けている場所の比較が出来る興味深い場所である。
形成と破壊のバランスを見ている。サンゴがある場所、サンゴがなくサンゴモが繁茂している場所、生物侵食が起こっている場所、、、etc。生物侵食によりサンゴやサンゴモが砂と砂利になる。この島ではさまざまな環境があるのが興味深い。
調査、モニタリング、実験(定着と成長)、コアサンプル採取により環境を測っている。ここはストレスは高く、海面上昇は「低ー高」、人間活動の影響は「低ー中」、海洋の酸性化は高く、気候変動に関しては予測不可な場所といえる。
研究活動のさまざまな段階においてボランティアの協力を得ている。
●スミス博士 セイシェルにおけるアースウォッチ活動の報告
西インド洋のセイシェル共和国のサンゴ礁をフィールドにしている。
インド洋の選定理由;
・350種のサンゴが確認されるという高い多様性があり
・高い依存性(人間が食べ物を調達したり生活の場にしたり)
・エコツーリズムの場
・98年の白化現象の影響
・気候変動による将来的な影響を受ける脅威があること
1998年、海水温が異常に上昇し、90%のサンゴが死滅した。
・どの種が生き残ったか?
・どの環境で生き残ったか?
・98年以降、どの種が回復したか?
に焦点を当てて研究している。それぞれのサンゴの年齢や回復度合いの測定、そしてそれぞれの場所における魚類の多様性、サンゴの分布と魚類の分布の関係が面白い。
フィールドとしては人間活動の影響から離れているDesroches環礁を選んだ(アヘ島への南西250km)
3つの異なる生息域(habitat)についてビデオトランセクトで計測;
1)環礁の端透明度が高い、1998年以降サンゴは回復
(outer atoll rim ; clear water exposed (15-30m)/exposed)
2)濁ったラグーン(礁湖)。光量は低い。大半のサンゴは小さい。大きなダイオウサンゴ属とハマサンゴ属も見られる。
(turbid lagoon (8-10m), very low light levels/sheltered)
3)濁ったラグーン。光量は中ー高レベル
(turbid lagoon(3-5m)moderate-high light/ sheltered)
ラグーンではサンゴの多様性が高かった。繊細として知られているミドリイシ類(Acropora bedsといえるほど!)がなぜこのような場所で生き残り、またこれがどのように魚類の多様性と関連しているのか興味深い。光量が少なく不透明なところでも生き残ったミドリイシ、条件が悪くても生き残ったサンゴがあり、なぜそのような一般的に弱いとされている種に体制があり、他の種にはないのか不思議である。
今後、濁ったラグーンにサンゴを移植できるかどうか検討する。サンゴ礁システムを管理するとき特定のある種を優先的に保護すべきかどうか?という疑問が胸にわきあがった。
●鈴木先生 琉球大学瀬底実験所における研究を中心に報告
*生物・化学共生によるネットワークの世界
*ミクロ生態系からのサンゴ礁の保全
*海水温上昇、紫外線上昇、によるサンゴ体内での活性酸素の組成、バクテリアによる褐虫藻の死滅。
*総生産量は40%低下
*総石灰化量は80%低下
*白化したときに褐虫藻はサンゴ内部にどれ位残るのか?
*バクテリアはサンゴの白化とどれ位関係するのか?
*白化してもすぐに死滅するわけはない。その間どこからサンゴは必要な有機物を得ているのか?
*サンゴをえさとして有機物を提供する生物は高水温でも生き残れるのか?
2005年、2006年、瀬底実験所において(アースウォッチボランティア各15名、8名参加)流速計、日射計、二酸化炭素の測定、多項目水質計を用いてさまざまな方面からのデータを得た。
*褐虫藻が光合成で1日に得るエネルギーは焼く251ジュール。そのうち0.1%を成長へ、
10%を呼吸へ、90%をサンゴに与える
*浮遊性シアノバクテリア(ex トリコデスミウム、プロクロコカス)
サンゴ礁の有機生産の約50%をになっている。サンゴのえさとして重要。主要な窒素源と考えられる。
*瀬底の底性バクテリアは酸素の泡がつくほど光合成をしている。蛍光顕微鏡の発展によりこのような小さな生物の役割がわか ってきた。サンゴには多種類のバクテリアが住んでいる。
*ビブリオ菌がサンゴの白化に関係していると思われ、サンゴを死滅させているのかもしれない。
*それぞれのサンゴには多様な色素が存在している。多様な植物プランクトンの世界。
*サンゴ → 粘液を出す → バクテリアの数が増える
サンゴの粘液は貴重な食べ物であると考えられる
*バクテリアによるビタミンB12生産開始、ビブリオ菌の増殖抑制。
パネルディスカッションでは;
・ボランティアはプロジェクトで何をすることを期待しているのか?
・ボランティアは結果として何を得ることが出来るのか?
・研究者はボランティアに何を期待しているのか?
と題し、ディスカッションがなされたものの、時間不足でほとんど進まなかったのが残念です。
実際にアースウォッチプログラムにてボランティアを体験された方たちからは、「1つ1つのデータを取ることの大変さ、作業の多さを実感し、サイエンスをやるためには全てのステップをきちんとやることが必要だということを学んだ。」「地域に住んでいる人との交流が大事だと思った。行ってみないと何もわからない。」との感想が出され、スミス博士からは「科学者のように考えてみることに挑戦して欲しい。異なるスキルを得て、異なる知識を得て、異なる角度から物を見られるようになって欲しい」、ポッツ博士からは「サイエンスについて自信を持って語れるようになって欲しい」、鈴木先生からは「実際にフィールドに出てみることにより自然は危険だということを実感して欲しい」と意見が出ました。
報告 by 安部
シンポ「世界のサンゴ礁の危機と保全−私たちに何ができるのか− 」に参加しました
「世界のサンゴ礁の危機と保全−私たちに何ができるのか− 」と題し、3月16日(金)に東京の三菱商事で国際シンポジウムが行われました。
三菱商事では地球環境事業部を設立し1990年より環境問題に取り組んでいます。2005年より静岡大学と三菱商事でサンゴの白化をミクロ生態系の動態と物質循環という視点から解明するためサンゴ礁保全プロジェクトを始動し、NPO法人アースウォッチ・ジャパンから研究活動へのボランティアが派遣されています。今回のシンポジウムは2006度の活動の報告会でした。
講演者リスト;
○鈴木款教授(静岡大学創造技術大学院)
化学的視点からサンゴ礁をながめる、特に白化について。
○ドナルド・ポッツ博士(カリフォルニア大学サンタクルーズ校)
生物学者/地理学者。オーストラリア、太平洋、ハワイ、 ミッドウェイなどさまざまな海域を30年以上にわたり観察してきた。
サンゴ礁の過去、現在、未来への変遷に興味を持つ
○デビッド・スミス博士(英国エセックス大学サンゴ礁研究ユニット)
環境がサンゴ礁に与える影響について研究している。インドネシア、ホンジュラス、マレーシア、セイシェルの海を見てきている。
○土屋誠教授(琉球大学理学部)
生態学を専攻している。生物とそれに関わる環境。どうして自然を守らなければいけないのか?に関心を持つ。
○難波菊次郎氏(アースウォッチジャパン理事長)
1990年にアースウォッチジャパンの設立。のべ500人の日本人がこのプログラムを通じてフィールドに出ている。
まず「世界各国のサンゴ礁の状況、それぞれの研究概略、成果、状況」について講演者からご発表があり、その後、「私たちに出来ること」と題しパネルディスカッションが行われました。どのご講演者の方も豊富なスライドを交え世界の各地域のサンゴ礁の現状を見せてくださったものの、残念ながら時間不足でご研究内容の結果の部分まで聞けなかったのが残念です。今後の成果が楽しみです。
講演概略;
● 土屋誠先生「沖縄のサンゴ礁 −その現状と役割−」
*サンゴ礁は、生活空間、海洋資源、生物多様性、観光資源、などの役割を果たしているが、現在そのサンゴ礁が危機に直面し ている。そのほとんどが人間活動の影響であるものが多い。例えば、過剰漁獲、土地開発、富栄養化、オニヒトデによる影響、 塩分低下、台風、赤土、赤土流入、光量低下による阻害、サンゴの病気がサンゴ礁の破壊に大きく影響している。
*オニヒトデの異常繁殖はある生物の数だけが増加したことによりバランスが崩れた影響である。それを考えると人間の数も30- 40年前と比べると倍以上になっている。その結果、現在では美しいサンゴ礁が墓場のようになっている。
*サンゴ礁が生態系の中で果たす機能のことを生態系サービス(ecosystem services)という。
漁場として大切、防災、研究教育の場、景観を提供、多様な生物を共存させる機能、環境浄化機能 etc
*サンゴ礁を漁場とした漁業は世界全体の漁獲の9-12%を占める。
*海流、波浪による影響、海岸侵食 → モルジブでは1kmの防波堤を作るのに1200万ドルかかった。
*現在、60,000種以上が記載されている。
*ケニアでは魚類の乱獲により、ウニの捕食者が減りウニが増加したことがある。このように代替種が不在の場合、機能が低下 する。キーストーン種による制御、ギルド群による機能維持。
*バランスをどのように維持していくかが大事である。
*環境浄化機能。ナマコは有機物をえさとして取り込んでいる。ふんの中を調べると有機物が減っているのでこの生物が機能して いるのがわかる。二枚貝や巻貝も水をろ過してきれいにする役割を果たしている。
*過去の機構の記録として非常に重要なのがサンゴの骨に残っている情報。サンゴの骨に歴史がきざまれてゆく。
*サンゴが白化して共生のバランスが崩れれると、脂肪酸(fatty acid)の量が低下し、サンゴの体の組成が変わる。バクテリア が増える。 サンゴ礁のみをみていてはだめでもっとミクロな世界にも目を向けなければならない。
→ 以上の流れをうけ琉球大学では21世紀COEプログラムを立ち上げて各方面からサンゴ礁について研究を進めている。
●ポッツ博士
「ミッドウェイ環礁国立自然保護区(Midway Atoll National Wildlife Refuge)」でのアースウォッチプロジェクトの報告。
環境変動に関する統合的な研究を行っている。サンゴ礁のモニタリングを行いサンゴ礁の持続可能性に関して研究。
ミッドウェイ周辺のサンゴ礁の様子はサンゴが多く分布している場所とあまりない場所があるがその違いはどうして起こるのか、それぞれの生態系の役割は何か、ミッドウェイのサンゴ礁が持続可能かどうか?というのが課題である。ハワイ諸島国家自然保護区は1859年に発見されて、1867年に米国による領有宣言がなされた。ミッドウェイはそのハワイ諸島の一番近くの島から2,000km離れている場所である。にもかかわらず、人間活動の影響を受けている。北太平洋の漁業によるゴミ;魚網や海外から流れ着いたゴミ(パソコンまでありました!)が非常に多く、残留物の影響も多い。例えばアホウドリやウミガメ、モンクアザラシ等。
1998年に最優先に保護するものとして鳥類(アジサシ、クロアシアホウドリ、コアホウドリ)と哺乳類(ハワイアンモンクアザラシ)、
両生類が制定された。Burke(2002)によるとこの島の生物多様性は低く、固有種の割合が高い(50%とも言われるほど)。
サンゴ礁の北限に位置しておりmarginal ecologyを観察するのに面白く、手付かずの食物連鎖を見ることが出来るのが面白い。人間の影響のない場所、人間の影響下にある場所、人間の間接的影響を受けている場所の比較が出来る興味深い場所である。
形成と破壊のバランスを見ている。サンゴがある場所、サンゴがなくサンゴモが繁茂している場所、生物侵食が起こっている場所、、、etc。生物侵食によりサンゴやサンゴモが砂と砂利になる。この島ではさまざまな環境があるのが興味深い。
調査、モニタリング、実験(定着と成長)、コアサンプル採取により環境を測っている。ここはストレスは高く、海面上昇は「低ー高」、人間活動の影響は「低ー中」、海洋の酸性化は高く、気候変動に関しては予測不可な場所といえる。
研究活動のさまざまな段階においてボランティアの協力を得ている。
●スミス博士 セイシェルにおけるアースウォッチ活動の報告
西インド洋のセイシェル共和国のサンゴ礁をフィールドにしている。
インド洋の選定理由;
・350種のサンゴが確認されるという高い多様性があり
・高い依存性(人間が食べ物を調達したり生活の場にしたり)
・エコツーリズムの場
・98年の白化現象の影響
・気候変動による将来的な影響を受ける脅威があること
1998年、海水温が異常に上昇し、90%のサンゴが死滅した。
・どの種が生き残ったか?
・どの環境で生き残ったか?
・98年以降、どの種が回復したか?
に焦点を当てて研究している。それぞれのサンゴの年齢や回復度合いの測定、そしてそれぞれの場所における魚類の多様性、サンゴの分布と魚類の分布の関係が面白い。
フィールドとしては人間活動の影響から離れているDesroches環礁を選んだ(アヘ島への南西250km)
3つの異なる生息域(habitat)についてビデオトランセクトで計測;
1)環礁の端透明度が高い、1998年以降サンゴは回復
(outer atoll rim ; clear water exposed (15-30m)/exposed)
2)濁ったラグーン(礁湖)。光量は低い。大半のサンゴは小さい。大きなダイオウサンゴ属とハマサンゴ属も見られる。
(turbid lagoon (8-10m), very low light levels/sheltered)
3)濁ったラグーン。光量は中ー高レベル
(turbid lagoon(3-5m)moderate-high light/ sheltered)
ラグーンではサンゴの多様性が高かった。繊細として知られているミドリイシ類(Acropora bedsといえるほど!)がなぜこのような場所で生き残り、またこれがどのように魚類の多様性と関連しているのか興味深い。光量が少なく不透明なところでも生き残ったミドリイシ、条件が悪くても生き残ったサンゴがあり、なぜそのような一般的に弱いとされている種に体制があり、他の種にはないのか不思議である。
今後、濁ったラグーンにサンゴを移植できるかどうか検討する。サンゴ礁システムを管理するとき特定のある種を優先的に保護すべきかどうか?という疑問が胸にわきあがった。
●鈴木先生 琉球大学瀬底実験所における研究を中心に報告
*生物・化学共生によるネットワークの世界
*ミクロ生態系からのサンゴ礁の保全
*海水温上昇、紫外線上昇、によるサンゴ体内での活性酸素の組成、バクテリアによる褐虫藻の死滅。
*総生産量は40%低下
*総石灰化量は80%低下
*白化したときに褐虫藻はサンゴ内部にどれ位残るのか?
*バクテリアはサンゴの白化とどれ位関係するのか?
*白化してもすぐに死滅するわけはない。その間どこからサンゴは必要な有機物を得ているのか?
*サンゴをえさとして有機物を提供する生物は高水温でも生き残れるのか?
2005年、2006年、瀬底実験所において(アースウォッチボランティア各15名、8名参加)流速計、日射計、二酸化炭素の測定、多項目水質計を用いてさまざまな方面からのデータを得た。
*褐虫藻が光合成で1日に得るエネルギーは焼く251ジュール。そのうち0.1%を成長へ、
10%を呼吸へ、90%をサンゴに与える
*浮遊性シアノバクテリア(ex トリコデスミウム、プロクロコカス)
サンゴ礁の有機生産の約50%をになっている。サンゴのえさとして重要。主要な窒素源と考えられる。
*瀬底の底性バクテリアは酸素の泡がつくほど光合成をしている。蛍光顕微鏡の発展によりこのような小さな生物の役割がわか ってきた。サンゴには多種類のバクテリアが住んでいる。
*ビブリオ菌がサンゴの白化に関係していると思われ、サンゴを死滅させているのかもしれない。
*それぞれのサンゴには多様な色素が存在している。多様な植物プランクトンの世界。
*サンゴ → 粘液を出す → バクテリアの数が増える
サンゴの粘液は貴重な食べ物であると考えられる
*バクテリアによるビタミンB12生産開始、ビブリオ菌の増殖抑制。
パネルディスカッションでは;
・ボランティアはプロジェクトで何をすることを期待しているのか?
・ボランティアは結果として何を得ることが出来るのか?
・研究者はボランティアに何を期待しているのか?
と題し、ディスカッションがなされたものの、時間不足でほとんど進まなかったのが残念です。
実際にアースウォッチプログラムにてボランティアを体験された方たちからは、「1つ1つのデータを取ることの大変さ、作業の多さを実感し、サイエンスをやるためには全てのステップをきちんとやることが必要だということを学んだ。」「地域に住んでいる人との交流が大事だと思った。行ってみないと何もわからない。」との感想が出され、スミス博士からは「科学者のように考えてみることに挑戦して欲しい。異なるスキルを得て、異なる知識を得て、異なる角度から物を見られるようになって欲しい」、ポッツ博士からは「サイエンスについて自信を持って語れるようになって欲しい」、鈴木先生からは「実際にフィールドに出てみることにより自然は危険だということを実感して欲しい」と意見が出ました。
報告 by 安部
